人狼BBSで学んだ事は非常に多く、まず挙げられるのは「人狼BBSは説得ゲーム」「論理性は他者感情への配慮までがセット」だった事でした。
実感したのは最初の3~4戦あたり頃だったかと思います。
どんなに正しい推理をしていても、自分の言動で同村した人達の反感を買えば聞き入れて貰えない。当時は「私の推理が正しいのに!」などと、浅はかにも思ったりしていましたが、逆の立場になって思い知る事になりました。
人狼BBSにはRP(ロールプレイ)もあって、それぞれ選んだキャラクターを演じる事もセットになっていました。演じないのも勿論自由です。しかし時々、RPをすっ飛ばす上に支離滅裂な短文(意見は言っているが思考過程・論拠が無いので意味不明になっている発言)しか言わないプレイヤーさんに当たる事がありました。
たしか一日20発言しか出来ず、1発言につき200文字だったかの制約があった事も「効率化」を選ぶ要因にはなっていたとは思います。そういうプレイスタイルも、駄目とまでは言えないでしょう。
さておき、そんなプレイスタイルの方の中には「自分が絶対正しい!聞き入れないお前らが間違ってる!」と言わんばかりの態度の方も居たりしました。(自分を見ているようで、恥じ入りました)そういうプレイヤーさんが居た時、どうすると思いますか?答えはですね。
余裕のあるうちに処刑します。
不親切な言動の方が不親切な言動を取る事が自由、かつ彼らの考える「効率化」であるように、同村した我々がそういった発言を「ノイズ」と判断して初日あたりで処刑するのもまた自由であり、円滑にゲームを進める「効率化」だったのです。
村人側になった場合、処刑ミス出来る回数は限られてきます。あえてそのミスを、ミス(該当者が恐らく白だろう)と知りながらもノイズ排除に使う事も戦法の一つでした。私一人がそう感じただけではなく、いつでもほぼ同村者の総意でした。戦法ですから。
人狼BBSは長期戦なので、決着がつくまで大体一週間ほどかかります。その一週間の間、話の通じない相手を一々相手にするのは、不快である事もさながら、ゲーム上非常によろしくない。当然、暴言を吐く人や、ゲームに非協力的な寡黙な人も同様に処刑されてきました。たとえ初心者だとしても、白っぽかろうとしても。
誰かを説得しようと思うのなら信頼を勝ち得なければならない。信頼を得ようとするのなら論理が破綻してはいけない。論理の破綻を防ぐには、フラットな態度で論拠を平易に伝えなければならない。そこまでを含めて漸く論理が論理足り得ます。
他者は、人間は、そんなに愚かではありません。自分に歩み寄る気の無い人間を信用する人は少ないですよね。それぞれに自我(エゴ)があるのですから。そういった人間の心の機微を無視して自論だけ展開するのは、論理性とは言えない、独善です。
+++
さてここで一つ問題が生じます。という事は「所謂『いい子を演じる』、上手く立ち回るヨイショ上手が生き残るのではないか」と。
これもまたですね。人はそんなに愚かではないので、「この人、中身のない事言ってヨイショしてるな=白に見られようとしているな」と感じられて処刑対象にあがります。これは、初心者人狼や、臆病さの高い村人がやりがちな事かなと思います。
相手を思いやる親切とヨイショは似て非なるもので、案外すぐ感付かれます。
上級者人狼になるとこのあたりお茶の子さいさいで、非常に論理性が高くなってくるので見抜くための論拠はただもう、過去に行われてきた事実のみとなります。後は村人がトリッキーな新戦法を取るくらい。戦い方のセオリーが確立してからも新戦法が続々と出てきたものでした。不謹慎と言えば不謹慎なゲームなのでこういう感想も語弊があるかなとは思いつつも、すごく有意義な時間でした。
ninjinさん、本当に有難うございました。
+++
余談なんですが、今日たまたまSNSで「上司にひっつき回って昭和男子ムーブメントをしている家族をすごいと思った」といったポストを見たのですが、そういうヨイショ的な立ち回りをしても、中身が無ければ組織にとって、長い目で見ると害になりかねないんですよね。人狼BBSと同じように。
人狼BBSと違って顔を突き合わせていると「なぁなぁ」になってしまって、中身のない、ヨイショの上手な人間を取り立てて組織が腐っていく事も珍しくないと思いますが、そういう悪しき慣習は過去に置いてきて良いと思います。中々無くなりませんけどね。
真摯でありたいのなら、思いやりと仕事内容で示すべきかなと私は思います。