毎年10月中旬は防犯意識を高める運動、全国地域安全運動の期間です。ちょっとした防犯の解説と、今日見た犯罪に関する話題の感想です。
タイトルに入れた犯罪機会論。読んで字の如く、「犯罪する機会を与えない」という理論です。割れ窓理論もここに包摂されます。
犯罪機会論において、防犯の柱となるのは領域性・監視性・抵抗性の三つです。犯意を持つ人間が接触してきた際、領域性が最初の盾となり、突破されると次は監視性、監視性も突破されると抵抗性が最後の手段になります。
今日、都内のとある公園が危ないというXのポストから公園名がトレンド入りし、それについての記事も見ました。確かに写真を見るとゆるい傾斜地に植え込みがあったり、薄暗くて監視性の下がっている場所が見受けられました。なるほど、確かに危険そうです。
公園は誰でも入れる場所ですから、元々領域性が低いです。残るは監視性頼みですが、その監視性まで低くなると、折角の憩いの場が一気に危険な場所へと様変わりしてしまいます。
公園の管理側は「事実かどうか判断しかねる」との事ですが、一見危うい構造はしています。そして「監視性の低さ」と「窃盗などには向かない敷地の広さ」を踏まえて想定される主な犯罪は性犯罪。泣き寝入りが殆どのものです。
ちなみに窃盗の発生を第一に考えない理由としては、ざっとですが、大抵の窃盗犯は短時間での実行と逃走を旨とするからです。そして逃走には機動力が高ければ高いほど良いので、電車や自動車をすぐ使える場所を選びがちです。
広い公園は自動車や電車を使えるようになるまで時間がかかります。ただし、自動車に並ぶ機動力のあるバイクや、それに次ぐ自転車が入れるようなので、発生の可能性はゼロではないでしょう。
さて、性犯罪について。警察にすら届け出られない件数、届け出ても警察官がそれを渋る暗数は幾らでもあるでしょう。ですから管理側が知る由もない。今日トレンドになったように、被害者の99%を占める女性達の間でだけ共有されてきた事なのだろうと思います。
前述の窃盗と違い、性犯罪は被害者がフリーズしてしまう事も特徴の一つです。ある警備会社の実験では、警備会社側が性犯罪を模した襲撃テストを行う旨を予告していたにも関わらず、被験者となった女性は襲われた際に防犯ブザーさえ鳴らせなかったそうです。
また、絶望感と無力感、羞恥心などからすぐには行動できない事も多い。窃盗であれば犯行後すぐ騒がれますが、性犯罪は騒がれる率が低い=素早い逃走を第一に考える必要が無いのです。実に卑劣な犯罪だと改めて思います。
監視性の低い場所。暗がりや植え込みの陰に連れ込まれたら、目撃と通報が困難になります。なのでこの監視性を上げる事=見えやすい場所ばかりにすることが防犯上重要です。
これは各ご家庭にも言える事で、たとえば高い石塀やブロック塀で囲った家があるとします。一見すると侵入し辛い・防犯に強い家のように思えますが、監視性が低く、一旦犯罪者に入られてしまうと外界の目が届かなくなり、格好の餌食になってしまいます。
角地など陰や死角になりやすい場所で事件が起きるのも、その監視性の低さにあります。なので、自衛として家の周りを整備したり、今回注意喚起ポストがRPされていたように、なるべく監視性の低い場所を避ける事も推奨されるでしょう。
しかし犯罪をする人間が100%悪いので、何かことが起きたとしても被害者が責任を感じる事は一切ありません。監視性の低い場所に居たとしても、落ち度ではありません。ただ、そういう環境を作る管理側は、もう少し防犯性について重く捉えて貰いたいとも思った次第でした。
余談ですが、私が居た間は届けを渋る警察官なんて居ませんでした。大分県警にも変な警察官の一人や二人居るだろうとは思いますが、それにしても他地域の警察の対応には時々閉口しますね……。